町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」を読みました。
2021年の本屋大賞受賞作品です。
すごくよかった。
でも虐待されていた人にはとても辛い内容が含まれます。
そんな重たい内容なのに
始まりが えっと思わせて
田舎のお節介とか情報網の話に
親近感を持って読み進めることができたのです。
田舎の悪いところが前半に出てきて
嫌だ嫌だ こんなところが嫌なんだ〜と
共感しながら読みました。
人は知らないで勝手なこと言うなあ。
でも 物語が進んでいくにつれ
それぞれの事情が分かってくると
お互いにお互いのことが分かってくると
人の繋がりってやっぱりいいなと思えてくる。
ワタシは ずっと一歩引いたままなのかもしれない。
誰にも聞こえない52ヘルツの声を出すクジラのように
周りの人に聞こえない声を出していた
周りから見えない存在にされていた
孤独だった 主人公 貴瑚さんが
同じように 扱われていた少年「ムシ」を救いたいと思う。
自分が 救われたように。
最後は未来に希望が見える終わり方でよかった。
今ここにいる貴瑚さんが
過去を少しずつ語り
過去の出来事が分かっていく構成がいいなと思う。
重苦しく壮絶な過去を現在形で読んだら
重すぎて重過ぎて。
でも 今生きている貴瑚さんがいるから
大丈夫だと読み進められる。
主人公 貴瑚さんの強さを感じられるから
きっと大丈夫だろうと読み進められる。
読んでよかったと思う作品でした。
最初の場面では
田舎の古い一軒家に引越してきたばかりの貴瑚さんが
若いけれど仕事もしていないみたいなので
これは 今 流行りのFIREか
なんて思ったけれど
全然違いました。
貴瑚さんが言われた言葉
P5
風俗やってたの?
P6
どうやらわたしはこの周辺の住人の間で、東京から逃げてきた風俗嬢という話になっているのだという。
そのうえ体のどこかにヤクザに切りつけられた傷を抱えている、らしい。
P7
訳ありの雰囲気だし、働く様子はないのに金を持ってそうだし、これはきっとそうに違いないってばあさんたちが勝手な憶測をして盛り上がってるんだ。
P22
「あんた、人生の無駄遣いやがね」
働かずに暮らしていることを責めているらしい。
若いのに
人生のさぼり
知らんふりしてどうすっとね。あんなのを認めていたら人間が駄目になるが。いや、ありゃもう駄目人間やが。生きているだけ、無駄よ。
P32
「どんな理由があるのかは知らんが、一刻も早く仕事を見つけなさい。無職の大人がウロウロするのは、子どもの教育に良くない。大人として恥ずべきことだよ。」
仕事をしていないと
田舎では受け入れられにくい。
人は知らないと勝手なこと言うなあ。
でも無視されたり
見えない存在として扱われるよりもいいのかなと思ったり
そんな言葉を聞くぐらいだったら
関わりを持ちたくないとも思ったり
しかし人は一人では生きられないものなと思ったり
色々考えちゃった。
hinemosunotarifire.hatenablog.com
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